婆
「
吾作(ごさく)さんや、吾作(ごさく)さん!
」
誰(だれ)かの呼(よ)ぶ声(こえ)で、やっと吾作(ごさく)は目(め)をさましました。いつの間(ま)にか、おヨネ婆(ばあ)さんのうちにいたのです。
女房
「
おまえさん、いったい、どうしたのさ?
」
吾作(ごさく)の女房(にょうぼう)も、かけつけていました。
吾作
「
ノッペラボウが出(で)たんだ
」
婆
「
なに言(い)っとる。そんなもの、このあたりには、おらんがな
」
吾作
「
いいや、たしかに見(み)たんだ。ノッペラボウが、三人(さんにん)も!
」
瀬田のヨモギ団子