ある年(とし)、それはそれは暑(あつ)い年(とし)で、日照(ひで)りがつづき、とうとう多摩川(たまがわ)の水(みず)が枯(か)れてしまったそうです。おとうさんも、おかあさんも、子(こ)どもたちも、みんなこまってしまいましたが、もっともっとこまったものがいました。
それは、河童(かっぱ)です。
水(みず)もなく、食(た)べる魚(さかな)もなく、おなかがペコペコの河童(かっぱ)は、ある日(ひ)、川岸(かわぎし)にすむお婆(ばあ)さんの所(ところ)にやってきました。

河童なにか、食(た)べものをください

河童(かっぱ)が人前(ひとまえ)に出(で)てくるなんて、よほどのこととかわいそうに思(おも)ったお婆(ばあ)さんは、のこりごはんに、ちかくに生(は)えていたヨモギをいれてカユをつくってあげました。
 河童(かっぱ)はおいしい、おいしいといって、ひと鍋(なべ)ぜんぶ食(た)べてしまいました。


瀬田のヨモギ団子