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こちらは、いま評判(ひょうばん)のヨモギ団子(だんご)の店(みせ)です。
さっきの旅人(たびびと)がやってきました。
旅人 「よう、婆(ばあ)さん。ヨモギ団子(だんご)、あるかい?」
婆 「さあさあ、これが瀬田名物(せためいぶつ)のヨモギ団子(だんご)だよ。多摩川(たまがわ)の川原(かわら)でとったヨモギで作(つく)った団子(だんご)だよ」
旅人 「おう、ひと皿(さら)おくれ」
さて、このお婆(ばあ)さん、みなさんはどこかで会(あ)ったことがありませんか?
そうです、河童(かっぱ)にカユを作(つく)ってあげたお婆(ばあ)さんです。
河童(かっぱ)が帰(かえ)ったあと、のこったカユを食(た)べてみたら、本当(ほんとう)においしい。それで、ヨモギを餅(もち)に入(い)れたり、団子(だんご)にしたりしてみたら、どれもおいしい。そうこうしているうちに、ヨモギ団子(だんご)が瀬田(せた)の名物(めいぶつ)になっていたのです。
旅人(たびびと)が聞(き)きました。
旅人 「婆(ばあ)さん、年(とし)はいくつだい?」
婆 「さあ?百(ひゃく)まで数(かぞ)えとったがなあ」
旅人 「へえー。まるで仙人(せんにん)のような婆(ばあ)さんだ」
婆 「なーに。それもこれも、ヨモギのおかげさね」 |